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大峰 白子谷〜鉄山     

2006.8.14-15 青谷 橘

 神童子谷の予定だったが私の家の都合で早めに下山できる白子谷を登ることにする。白子谷はこの辺りでは一番やさしい沢なので、気楽に取り付くことができる。前夜10時過ぎ、大川口に到着。ビールを飲んで寝る。

 翌朝3時30分起床。4時30分朝ぼらけとともに出発。白子谷出合い付近でちょうど日の出となる。沢自体は傾斜も緩く、さしたる困難はない。しかし浮石が多く、油断していると落石を起こす。魚はほとんどいそうにない。ザイルを出すこともなく源頭付近に到着。二股が何度か現れる。左へ行くか右へ行くか意見が分かれる。青ちゃんの意見がどうもおかしい。(逆もまた真なりであることが後でわかるが・・)
 お互い地図とコンパスでルートを確認するがどうも意見が合わない。二人の磁石を見比べると北が45度ほどずれている。お互いに自分の磁石が正しいことを主張するが意見は平行線のままだ。私の腕時計に付けたスントのコンパスは小型だが今まで狂ったことはない。青ちゃんのシルバーコンパスもスイス軍も使ってるらしいのでそうそう狂う代物ではないだろう。天気は快晴なので四方の山並みで現在位置は把握できる。

 そのうちにどう考えても北なのに磁石は南を示すようになってきた。上部でトサカ尾根(地図には赤線が引いてないが、赤テープとそこそこしっかりした踏み跡あり)に合流する。修復山と鉄山が視認できるので踏み跡を辿って進む。

 約1ヶ月前に須川・滝口と共に弥山から鉄山へガスの中を下山しようとしてルートが拾えず引き返したが、今日の天気と登りであれば弥山までの道は拾えそうだ。しかし南西方面には”迷ケ岳”という興味をそそられる穏やかな山と、その向こうには断崖絶壁の弥山川が控えているのでなかなか侮れない。
 赤テープを拾いながら鉄山に到着。展望はすばらしく、はるかに金剛山の山並みまで見える。鉄山からは次第に道もはっきりし、ひざがガクガクなるような急な下りをひたすら降りる。12時過ぎ、国道309号線沿いに降り立つ。例のごとく立て看板があるので早速読ん
でみる。(看板を読むのも大事)

「鉄山から弥山へのルートはコンパスが狂う箇所があり、また赤テープも遭難者が残置したものもあり、正しいルートであるとは限りません。特にガス発生時には熟練者でも過去に遭難が発生しておりますので絶対にこのルートからは弥山には登らないようにして下さい」 だいたいこのような事が書かれていた。これで上部でのコンパス対決は落着した。また、”鉄山”の由来も少しずつではあるが解けてきた。
 しかし私の中ではまだ解決できていない。こんどこそ、霧の中を鉄山から弥山まで歩かねば! 狂うコンパス、穏やかではあるがその向こうの断崖絶壁、信用のできない赤テープ、うーん堪えられない。 しかしガスの中赤テープを見失うと非常に厳しい試練となるであろう。



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