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鈴鹿 矢原川本谷    2004年06月13日     記録  須川

メンバー  須川(雄) 山田(隆) 幸内  橘  吉田  永田(ツ) 高場

はじめに 
 今回の山行で最終下山連絡に間に合わず、皆様に大変ご心配をおかけしまして申し訳ございません。
計画書作成段階で最終下山連絡を決めるときに土日の2日間の予定でしたので、最終日は朝早く出発でき参考コースタイムも6時間のルートでしたので3時か4時には下山できるだろうと考えていました。しかし日曜日のみの参加の方もおられましたし、先発隊も土曜日が雨のため中止にしまして結局土曜日の夜遅く出発となりました。現地について気分よく宴会し「さあ寝るぞ明日何時に起きよ」と思ったとき当初考えていた4時や5時起床など無理な時間になっていました。結果、出発時間も遅くなり後々まで響いてくることになりました。自分自身認識が甘かったです。

コースタイム
7:45 出発  8:30 取り付きの茶畑  9:00 右俣と本谷の出合
11:00 100mの大滝  13:00 不動滝  14:30 南西尾根稜線
15:45 仙ヶ岳      16:30 タカノス   18:40坂本

 台風5号接近のため土曜日の石谷川を中止にして矢原川本谷のみを前夜発日帰りで行くことにする。名神自動車道の栗東で降りて1号線→302号線と進み川崎町の南条で右折して坂本の集落に入る少し手前の駐車場に止める。(名阪国道で行く方が安上がりでいける)

 矢原川の左岸を走る林道を進むと茶畑があり、小さな看板で矢原川と書いてある。ここから沢に下りしばらく進むと右俣との出合があるので左の本谷にいく。すぐに5mの滝がでてきて水量が多いのでザイルを張る。今回は無線機を2台持って行ってコールに使った。長い滝で姿も見えず水爆で声が聞き取れない時は重宝すると思うが、短い滝ではいちいちザックから無線機を取り出して交信するのは邪魔くさい。

 今日は少し肌寒いが、天気が最高に良く気持ちいい。昨日の雨が嘘みたいだ。連続する小滝を超えていくと100mの大滝が現れる。下部が左にカーブしていて全貌が見えないが10mほど上ると見渡せる。登攀記録を読むと3ピッチで抜けられるが、上部になるほどホールドも乏しく難しいらしい。とてもじゃないが行ける気がしないので高巻く。

 しばらくすると二段20mの滝が現れ山田君がリードしセカンドはユマールで上る。その次の20mの滝は僕がリードする。初めは快適に登るが最後に乗り越える手前で詰まってしまった。左手を伸ばした30cm先に大きなガバが見えているがそれをつかむには右にある細いクラックに指先を突っ込み立ちこまなければいけない。フットホールドもツルツルで難しい。

 腰の辺りのアンダークラックにハーケンを打つが引き抜き方向でぜんぜん効いている気がしない。勇気がなく一歩がでない。A0でいこうと右上のクラックにもハーケンを打ち込むが不覚にも途中で落としてしまった。仕方なく効いていないアンダークラックのハーケンにセルフをとり、ロープにハーケンをインクノットで付けてもらい引き上げる。アングルハーケンを思いっきりクラックに叩きこみ、1/4ほどしか入っていないハーケンにシュリンゲを通しそれを手がかりに「抜けんといてくれー」と念じながらA0で越える。

 ビレイポイントを作り振り返ると、アングルハーケンの穴にシュリンゲを通していた。いつもは根元まで入っていないハーケンにはタイオフでシュリンゲを通すのに、恐怖と緊張のせいでまったく考えもしなかった。恐ろしくなると冷静な判断が出来ないものだなあと怖くなった。

 不動滝を越えるとスケールは小さくなるが小滝やヘツリが現れ飽きささない。水量の多いほう多いほうと進んでいくと、稜線よりもかなり西よりに進んでいたみたいで目的の仙ノ石よりかなり南西のところに出てしまった。もっとコンパスを見ながら進まなければいけない。

 仙ノ石に着き、せっかくだからすぐ近くの鈴鹿100名山の仙ノ岳までいく。ここからは360度に樹海の広がる大パノラマで伊勢湾から琵琶湖まで見渡せる。昨日の雨のせいか遠くまで澄んで見える。御在所岳や鋭鋒鎌ヶ岳を望みながらの縦走はとても気持ちがいい。予想以上に時間がかかってしまったので古賀さんに「少し遅くなりそうです」と携帯で電話しようとするがアンテナは3本立っているのにかけようとすると圏外になってしまう。

 少しでも早く下山しようと、エアリアには載っていないが地形図に載っている788mのところの点線道を降りたほうが早いだろうかと相談する。「タカノス 上級者向き」と看板があるところでここだろうと駆け下りる。道は悪いが頻繁に赤テープが巻いてあり、それを頼りに進むと見晴らしのよい所に出て「タカノス」と書かれている。しかし、どう探しても行き止まりで先に行けない。貴重な時間をロスしてしまい、泣く泣く登り返す。仕方なく計画通り野登寺まで行く。杉林の中で木漏れ日が金色に輝きとてもきれいだ。

 野登寺に続く小道を使い急いで坂本まで下り古賀さんに連絡する。
とても心配していてくれて本当に申し訳ないことをしてしまった。今後このようなことの無いよう気を引き締めていかなければならない。


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