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雨の白馬岳主稜  2004年05月03日〜04日   記録 須川
      メンバー    L橘 須川 大西 滝口

 雨の中、白馬岳主稜を登ってきましたので報告します。
白馬岳主稜は前々から行きたいと思っていましたが、なかなか行く機会の無かったルートです。しかも白馬岳にさえ登ったことがなかったのでとても充実した山行となりました。

5月2日
 22時にJR西宮駅に集合して北陸道の糸魚川JCで降りる。
今回は低気圧が日本海側に来るのでこれから天気が悪くなるとの予想。分かっているのに出発するのは、なんとも嫌なものだ。

5月3日
 猿倉に着くとスキーを持った人がいっぱいで大変賑わっている。「これでは主稜もいっぱいで順番待ちやな」と覚悟する。到着が遅かったので他のパーティーはもう出発しようとしている。仮眠もせず、すぐに出発準備をする。やはり後立山は遠い。重い体を引きずりながら白馬尻に7時に着くと他のパーティーは大雪渓を登っていく。

 主稜には僕たちだけだがトレースはばっちり付いている。天気も今のところ快晴でTシャツでも暑い。8峰への急登を登るが、寝不足と照りつける太陽とザックの重みでフラフラする。頭の上に雪をのせて冷やしながらやっと8峰に到着。ここから雪稜になるが太陽が照りすぎて雪が腐り歩きにくい。急登が続き6峰への雪壁は足元がズルッといきそうで気持ち悪い。気温も高く辺りからドンドンと雪崩の音が聞こえる。

 6峰に着きここから白馬主稜の全域が見渡せる。ちょうどピークに抜ける雪壁には順番待ちの列ができているのが見える。時計の針は12時をさしている。このまま不安定な雪質の中進むか、それとも雪が締まってくるまで待つか相談する。橘さんは「この雪では危ないので待とう」と言うが、僕は「これから確実に天候が荒れてくることが分かっているので先に進もう」と言う。

 結局ここで大休止していると、すぐ右側の白馬沢からザザザーと雪崩の音が聞こえる。しばらくするとまた同じ場所から雪崩がおきる。よく見てみるとスノーボーダーが2人白馬沢を滑っているではないか。70度ほどもあろうかの急斜面をササーと滑るとその下の雪が雪崩ていく。そして雪崩きった跡をまた滑っていく。なんて危ないことをする人たちだ。その危険極まりない滑走を眺めていたら、次第に雲が出てきて今までの天気が嘘のように急に雨が降り出してきた。これは急いで抜けなくてはと、カッパを着て先を急ぐ。

 橘さんが「雪が不安定なので嫌らしいところはザイルを出して行こう」と決めて登りだす。しかし僕が先頭で登っていると、ちょっとしたナイフリッジが出てきて「トレースもあることだし行けるだろう」とノーザイルで通過すると後ろから「ここはザイル要るやろー」との声。後で聞くとリッジの左右から雪がズルズルと落ちていたらしい。

 本格的に天気が悪くなり雨とガスで視界が悪い中トレースを頼りに進む。
頻繁にザイルを出していると、後ろから他のパーティーが登ってきた。ガイドとお客さんの関係みたいでコンテで登っている。少しでも危ないところがあればガイドの人が先に上り引き上げる。トップはビレイ無しなので早くあっという間に抜かされる。僕たちはリードが登りデッドマンでアンカーを作り、真ん中2人はユマールで登り最後は引き上げるというシステムで登る。

 ザイルを出すと確実性は増すが時間がかかりすぎる。どんどん天気が悪くなる中スピードをとるか、確実性をとるか難しいところだ。ガスのなか無我夢中で登るがピークが遠い。「あそこに見えているのを越すとピークだ」と登りきると、まだ前に雪壁が立ちはだかり、それを越えてもまだ出てくる。

 6峰から眺めた時はすぐだと思ったが長い。橘さんがガンガンとリードしてくれてやっと最後の雪壁らしいところに着いた。雪壁は60mほどあり2ピッチ必要。風も出てきて雪も少し締まってきて登り易いが雪壁の途中でビレイしなければならない。今回はデッドマンを2個持っていたので緩んだ雪にも重宝した。スノーバーは出番なし。

 頂上の雪屁はほとんど無く暴雨の中、念願の白馬岳ピークに着く。写真を撮り足早に白馬山荘に向かう。風は強いが温かい。5時に白馬山荘に付いたが、小屋が営業していたのであまり変なところにテントを張れず夏のテント場に張る。吹きさらしの広い所でテントを張るにも飛ばされそうになって大変。バタバタと揺られるテントの中、美味しいキムチ鍋を食べる。寝ている時もうるさいし、「ポールが折れるかも」と気になってあまり眠れなかった。

5月4日
 相変わらずの天気だが、濡れた靴とカッパを着て出発する。「雨が降っているときの大雪渓は雪崩や落石はどんなものだろう」と、橘さんが小屋の人に聞きに行ってくれる。「別に大丈夫だ」とのことで、誰もいない大雪渓を尻セードで駆け下りる。2時間ほどで猿倉に着き二股の少し下にある八方白馬温泉(400円)に入る。露天風呂で屋根も無く風呂桶を頭にかぶりながら疲れを癒す。下山してから更に雨が強くなったがほとんど渋滞に巻き込まれることなく帰る事ができた。


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