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神戸山岳会の会章について      川本 勉

 神戸山岳会が、創立以来五十周年を迎えることになり、年の流れの速いのに改めて驚いています。
 会章を思いたった動機につきましては、会報三号(1950年発行)と、もう一度他に書きましたが、すでに三十年以上も前の古いときのことで、会員の世代も代わり読まれた方は数える程しかいないのではないかと思います。
 私達が山へ行きだした頃には、ただ同好の者が自然と集まって山に行っていたもので、会も何も必要ではなかったのです。それがだんだんと人数が増えてくると、この自然発生的な集まりでは、やはり都合が悪くなり、登山という一つの目的を持った団体をつくったわけで、それには規約が必要であり、そのシンボルマークとなる会章も必要となってきた訳です。
 従来から多くの山岳会のマークといえば、その会の目的を象徴するために、殆んどのところ、ザイル・ピッケル・ハンマー・カラビナ等をあしらった図案が多く使われています。それはそれで目的意識がはっきりしていて面白いと思いますが、あまりにも類型的で、新味に乏しく、新しく再興して、若い希望と情熱に燃えている神戸山岳会の会章としては、あまりにも古くさくマンネリ的なので、新しい感覚で新しい理念を表現したものにしたいという発想のもとに考えました。
 それは新生「神戸山岳会」にふさわしい山への情熱と理想、行動を新しいセンスで表現したシンボルマークが欲しかったのです。
 天と地の間にそびえる山!! その上部の半球はどこまでも青く澄みきった大空であり、下の半球は、私達の生活している緑なす大地であって、その間に、どこまでも高くそびえる大いなる峯! このより高いものを求めてやまない心こそ、アルピニストの純粋な心であり行動ではないでしょうか。
 このような気持ちを、多少とも表現することができたと思って、この会章を考えました。どうかこれからもご愛用ください。

               1990年発行 神戸山岳会創立五十周年記念号 より




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