大峰 神童子谷 沢登り

山行日
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山域、ルート
大峰 神童子谷
活動内容
沢登り
メンバー
須川、川、橘(記)
大峰 神童子谷 沢登り IMG_7003

約20年ぶり位の神童子沢再訪となった。前回は、単独で二日間でノウナシ沢を詰め上がって奥駆け稜線迄上がり、約6時間をかけて行者還りから登山口の大川口まで戻っていたということが自分の古いネットの記録から分かった。今回はOGの方も参加されるということで、昔話にでも花を咲かせて沢を楽しもうということで参加させて頂いた。

が、結局、野郎ばかりのおっさん三名で二日かかりで神童子沢に再訪することになった。

大峰 神童子谷 沢登りの山行記録

初日。前夜朝4時前までテントの中で肩がらみのロープワークのやり方や対面二重ブーリンの実技講習等で盛り上がり、朝は強烈に眠い中を起こされて準備を始める。

あまりに眠いので、今日はもうここで切り上げ温泉へでも良いかなとは思ったが、やる気のあるK君の手前、余り無様な姿を見せるわけにもいかず、目をこすりながら必死でザックの防水準備を行い、その合間に朝飯を腹に詰め込んでから、出発する。(9時)

本日の予定はよく分からないが、リーダーもあまり稜線まで行く情熱はないようで、日頃の仕事疲れのリフレッシュを今回の主目的にしているようだ。昔の私のように稜線迄全力で上がりその勢いで6時間をかけて下って降りるといった気概が感じられないのでひと安心する。

さて、昔とは違い、ずたずたに崩れた滝見遊歩道を右に見上げならが、とぼとぼと河原を歩く。と、突然一つ目のつるつるの斜瀑が現れた。心と身体の準備が間に合わないがすぐに巻き道も見つけられないので当然のように若手二名は蒼いプールに飛び込んだ。うーむ冷たそうだ。私は高齢からくる心臓発作を恐れ、暫く躊躇したが、泳ぐしか無さそうなので珍濡れとともにプールに飛び込む。ウーム下半身が冷たくて目が覚めて気持ちがよい。

必死で泳いでいると、K君が木の棒を差し出してくれたのでそれを頼りに岸に這い上がる。

初っ端からこれでは先が思いやられる、二年ぶりの泳ぎだった。その後また凡庸な河原を歩くと、やがて赤鍋の滝と思われる、赤いヌメリが特徴のつるつる滝が登場。土日のポピュラーな沢だけあって、入渓Pも多いがフリー、巻き、と色々だ。ここは我々は慎重を期してS君リードで確保登攀を選択する。いきなりのヌルヌル滑り沢だったのでスリリングではあった。それを超えるとまたお助けトラロープの垂れ下がる滑滝が現れる。寒いが泳いで取り付くしかないので残置ロープ迄泳いで取り付き、それを頼りにずり上がる。少しリズムが出てくるがそのあとは凡庸な河原が続いた。小一時間で何やら見覚えのある、二つ目玉の釜滝がでーんと登場。しかし右側の穴からは水が枯れている。何やら片目だ。左右に巻き道が確認出来るが、何となく先頭は左を選択する。

明瞭な踏み跡ではあったが、途中一か所切れた所があり、トラバースには木の根ホールドに全体重と65年の人生をかける必要が有りそうだ。ここで我が人生にピリオドを打つのも勿体ないと思えたので私は引き返して安全な右側の巻き道から上がる。歩きで済んだ。

滝上部に達してみると、なるほど右側のノウナシ谷はほぼ水が枯れている。左の犬取谷には普通に水が流れている。二つの沢の出合いの台地上には何組かのPが幕を張っていた。(12時)

この辺で幕を張ってはどうかなあ等と考えながら、取り合えず計画通りノウナシ谷へと右に進んでみる。ノウナシ谷はやや暗く、陰気な沢だ。水は少ないが魚はたくさん生息している。これを見たS君は、頭に血が上ったのか、これは絶対に釣れる!と宣言し何やら釣り道具を出して釣りを始めた。しかし「見えてる魚は釣れない」との古くから言われる格言を思い出した私はほんまか?とは思ったがせっかく釣り竿と餌のイクラも担いできたことだし、釣り糸を垂らすことにする。魚は一杯いるのだが、イクラには全く反応しない。ぱっと寄ってきてはイクラと針を確認してはUターンだ。残念だが他の餌を持ってきてないので川底の石裏の川虫を探すが生憎孵化したあとか全然いない。1時間ほど粘って、諦める。今日対面出来たのは枯れたプールで自然死していた20センチほどのアマゴ君だけであった。しかし天然資源保護にイクラかは貢献出来たのではないかとの想うと満足できた(笑)。 釣りを一旦諦め、次はねぐら探しに重点を置く。

ノウナシ谷はなかなか陰相な沢で、平地は有っても幕を張るには風通しも悪く陰気臭い。

20年前の記憶を思い返し、ノウナシ滝まではこんな状況が続くだろうということで、犬取谷へと移り、風通しの良い開けた河原が見つかったのでここで幕とする。(14時)

ベースを設営した後はまた各自今夜の酒のあてを確保すべく散開して粘るがどうもイクラと、もっと不味そうな疑似餌イクラではグルメな魚君たちには見向きもしてもらえない。

取り合えず諦めて、焚火のための枯れ木集めに精を出す。焚火の遠火で魚君たちを炙って頂く予定だったが、嫌われてしまったので木の枝にフランクフルトやチーズを差して炙って焼く。これはこれで充分旨かった。飲んで食べて喋って、陽も落ちてきたので原始人の眠りにつく。(19時)

二日目。朝8時起床。今日はもう釣りをしながら帰るだけなのでのんびりと過ごす。朝からK君持参のフランクフルトをフライパンでソテーし、一晩沢で冷やしたキンキンのビールで流し込む。これ以上の贅沢はない。もう明日死んでもよい位だが、そうも言ってられないのでスライダーの赤鍋の滝をどう下りるかを思案しながら、帰り支度をする。朝一の固い身体でやや緊張しながら釜滝を左から巻き下り、身体が沢に順応したのを確認しながら暫く歩くと赤鍋の滝に到着した。朝から登ってきたPで混みあっている。皆さんいきなりの滑り台のような滝なので難儀しながら必死で登られているようだ。我々は二日目なので余裕があった。ここでスライダーでどう下りようか逡巡するが、Sリーダーの意見で乾いた左岸のスラブを尻(シリ)摩擦制動で降りると意外と安全に下りられた。途中で登ってきたPの最後尾の人がバランスを崩し、そのまま滝つぼまで滑り落ちる。泳ぎさえ出来ればそれほど危険性はないことが確認できたので私も時間短縮で続いて滝に落ちる。しかし金槌を自認するK君だけは滝つぼでの泳ぎに不安が有ったので登りで使用したお助けロープを掴んで左岸より慎重に下りる。

S君は落ち口からのスライダーが気に入り、2回ほど繰り返していた。来たときは恐怖に感じた滑り滝も、慣れてみればお猿の遊び場のように思えてくるから慣れというものは不思議なものだ。

赤鍋に別れを告げて暫くすると、程なく林道との合流点に到着し、林道に上がる。上った途端にでた言葉は 「暑い!!」だった。 デポ車到着13時。皆さんお疲れさまでした!

NOTES

  • 林道脇には二日とも10台近い車。これほどの人気沢になっていたとは知らなかった。
  • 軽装の単独ハイカーもいたが、やはり軽装で単独ではやや危なそうに感じた。
  • 釜滝周辺には4,5張り程張られ、癒しのキャンプで賑やかだった。
  • 沢キャンプの必需品のサンダルを忘れたので足裏が鍛えられて痛かった。
  • 楽しい山行を共に出来た仲間達の皆さんに非常多々深感謝!!