大峯奥駈道 縦走

山行日
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山域、ルート
大峯奥駈道
活動内容
縦走
メンバー
藤本 (ソロ)

「大峯奥駈道」(逆峯)

日本最古のロングトレイル

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ここは金峯山寺がある奈良吉野山と熊野三山を結ぶ
修験道の修行場として開かれた道である
吉野から熊野まで、神社や寺の他に大峯山脈の
主稜線沿いに75の靡 (なびき) と呼ばれる行場があり
奥駈は修験道で最も重視される修行である

※ 平成16年7月ににユネスコ世界文化遺産に登録
「道」としての登録はスペインとフランスを結ぶ
「巡礼の道」とここだけ

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奈良県の生まれ育ちなので思い入れも深い

「自分との挑戦」

若い頃に厳冬期の冬山で遭難、
長野県警他、遭対協、民間ヘリ会社「東邦航空」の
懸命の救助活動により救助して頂いた結果、
今がある
両下肢全肢を凍傷により切除
以前26.5㎝あった足は現在両足共に17㎝に
現在も生かされている事に感謝する毎日
その様な自分がどこまでできるのか
人と競うのではなく限界に挑戦してみたい
そう考えて「3日行程」に決定

【初挑戦】
昨年、2022年9月

初日 (前夜22:30) に柳ノ宿 (#75靡) をスタート
1日目だけ応援で ヨッシー が応援で参戦してくれた
長い夜はガスで視界が悪く思う様に進めなかった
結果19時間要して17:30 弥山小屋に到着
滅茶苦茶つかれた...
小屋の主人から翌日以降、特に2日後の天気が
かなり荒れる予報に変わってると聞く
またこの初日のルートを通過しないといけないと
思うと再挑戦はしたくない
ストーブの前でボロボロの身体を癒しながら
ビールを片手に悩む
現状を受け入れられないが釈然としないまま
下山を決定
翌日、天川村からバスに乗車

この箱は、
「敗北者を輸送する乗物や!」と思って紋々とした

【今回】
リベンジ!
梅雨の合間に2日間の晴れ間がある
前後の10日間は雨、これは行くしかない
しかしスタート日の午前中に台風2号が通過した
ばかりで大雨によりトレイルは荒れてはいないか
山深くエスケープの難しい場所にあり登山者も
多くはない
万一の時は深刻な事態になる事が容易に想像できる

だが山に入ろう!

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ルート全体

大峯山脈の北端から南端を結ぶ

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北部図 (表面)

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南部図 (裏面)

細かくタイムと水補給場所、エスケープルート
及びバス時刻を記入

以下、山行記録です

大峯奥駈道 縦走の山行記録

装備 (主な物)

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雨により無人小屋に辿り着けない事態を想定して
今回はテント泊を選択
(※ルート上に有人小屋は弥山小屋1件のみ)

ザック : OMM クラシック 25 715g
テント : ヘリテイジ クロスオーバードーム 1G 720g
シュラフ : OMM マウンテンコア 125 380g
食料 : 約3,000kcal/1日
トレイルバター、ドライフルーツ、
バー、ジェル、塩飴
水 : 最大時 2L
バーボン 430ml

合計 9.5kg

行動詳細

1日目

22:00 柳ノ宿 (#75靡)

やはりここから再スタート

本当に行くのかとまだ現実を受け入れられない

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台風の影響で増水した吉野川が満月の月明かりで
不気味に照らされる

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奥千本の金峯神社を越えたあたりからいよいよ
深い山に入る
聞こえるのは鹿の鳴き声と、
「ガサッガサッ」と言う音

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満月に照らされ長い夜をひたすら歩き続ける
時々遠くに見える月を街灯りと見間違え落胆する

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3:45 女人結界門

ここから先、女性は入れないので迂回をする

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4:40 日の出

長い夜だった...

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西ノ覗

修行の一環として命綱を体に縛り顔面から吊る
されると言う荒行が行われる場所
子供の頃、やらされたな...

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山上ヶ岳

山並みが美しい

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6:00 大峯山寺 

このあたりで大勢の行者さんと出会い、
身の引き締まる思いをした

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6:30 小笹ノ宿

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ここで最初の水補給
いつ来ても水が豊富だ

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きもちいい~

が、前日の朝6:00から30分しか寝てないので
恐ろしい睡魔と闘いつづける
流石に頭が朦朧としてきたので草の上で仮眠
コバエにたかられ 3分で起きたがすっきりした

そして弁天ノ森からの最後の急登を快調に登った

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15:00 弥山小屋

17時間行動

プシュ、プハ~、最高

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2日目

2:00 起床

4:00 出発

八経ヶ岳 (関西最高峰 1,915m)

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孔雀岳 方面へ

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鳥の水

渇水期は涸れる事があるらしいが、
それなりに出ていた

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孔雀ノ覗

展望がすごい

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釈迦ヶ岳

ロックオン
舐めてたら最後の急登がしんどかった

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前回はソロの沢登りで来た
前鬼から入り孔雀又谷左俣を詰め上がり頂上へ
沢で1泊した際に焚火をしていたらツキノワグマの
親子と近距離で遭遇したな...

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前鬼から登ってきてくれた 竹ちゃん
応援の差し入れがたまらんほど美味かった!

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太古ノ辻

奥駈道の南北分岐点

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南奥駈道 に入り木々の感じが変わってきた

暑さにより疲労が蓄積されてきてこの日の行程を
短縮しようかと考え始める
計画では「行仙宿山小屋」まで行く予定だが、
1つ手前の「平治ノ宿」に変更

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16:00 持経ノ宿

11時間行動

他の小屋は水場が遠いので計画より2つ手前の
宿にした

想像していたより綺麗で安心

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荒れた緩い下り坂のロードを400mほど降りる
水は豊富だ

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宿泊費 2,000円と電気代 (100円/2時間) +気持ちを
納めた

小屋の中には 布団、座卓、充電用設備等がある
「新宮山彦ぐるーぷ」に感謝

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初日から足先の水膨れが痛むが麻酔薬を塗り我慢

これくらいならまだ行ける

靭帯や骨折などをすると即時ゲームオーバー
それだけは避けたい

3日目

2:00 起床

3:00 出発

前日は予定より3時間も手前の小屋に泊まったので
長い1日となる

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平治ノ宿

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まだまだ果てしなくゴールの「熊野本宮大社」
遠いが悪路が立ちはだかる

鹿以外に「5本指の肉球の足跡」
「生暖かそうな鹿以外の糞」を時々見た
初日に熊鈴をなくしたので死角になる所や
アンテナが働いた時に「オォーッ」と声を出して
自分の存在を表した
疲れている上にこれがまあまあしんどい

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行仙宿山小屋

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ここも管理が行き届いていて快適そう

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「え... 」

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新緑が気持ちいい

地図には書かれていないルンゼで初めての水補給

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大きな山塊の 笠捨山 を越え 槍ヶ岳地蔵岳
急峻な鎖場を行く

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13:00 玉置神社

ここは圧巻

このあたりで予報通り雨が強くなってきたので
レインを着込む

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夫婦杉

強烈なパワースポットらしいので頂戴する

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巨大な山塊の 大森山 への急登

ガスってきて何かジブリっぽい
と言う余裕などとっくにない

日没までに下山できない
ましてや紀伊田辺行の最終バス (16:40) は
もってのほか

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やっと、やっと、やっと
ゴールの街灯りが見えてきた~!!

本当は「大斎原の大鳥居」が見えて感動するはず
だったけど何も見えない

最終バスにも間に合わないし何処も食べ物屋さんは
閉店してるので下山したら温かいコーヒーと
ビールを飲もう

あとひと踏ん張り

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熊野川を渡渉して「大斎原」へ到達するのが
本来だが真っ暗でどこが川か全く見えない

橋の先には道路、
数日見てなかった「文明の利器」が走っている

国道168号線を「熊野本宮大社」へ歩く
自販機が見えてきた、

「まさかっ!」

「絶対そう!」
「小銭も千円札もない~!!」

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凍えながら ゴール

21:00 「熊野本宮大社」

18時間行動

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生気がない (笑)

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本宮大社前のバス停

雨宿りさせて頂く

柳ノ宿 (スタート地点) への送迎
太古ノ辻 (釈迦ヶ岳) へ差し入れと治療に来てくれた
竹ちゃんの迎えを待つ
サポートがなければ踏破できてなかった
本当にありがとう

そして多くの方々の熱いご声援

心より感謝します

3日間合計 46時間 (CT×0.85 休憩含む)

距離 103㎞

累積標高 8,470m


以上、山行記録でした

山は遊びの宝庫や!!

筆者が書いた関連記録]

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