熊野川水系 立間戸谷 沢登り 遡行

山行日
山域、ルート
熊野川水系 立間戸谷
活動内容
沢登り
メンバー
谷川(L)、谷口、SMB(記録)
行程
5:30 駐車地
6:25 入渓
13:30 遡行打切り
15:50 駐車地

熊野川水系 立間戸谷 沢登り 遡行の山行記録

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SMBです。
この度三重県熊野市の子ノ泊(ねのとまり)山から西流し、大河熊野川に注ぐ谷『立間戸谷』を遡行してきましたので報告します。

前置き

この『立間戸(たちまど)』という名前の由来は、まるで戸の様に峭立した岸壁が至る所にある為だとか。
他にもこの谷には、屏風滝、屏風嵓といった垂壁を匂わす名所があるようで、そんな険しい谷に行けるという期待と不安を抱きながら当日を迎えました。
スローガンは『登れそうな滝は積極的に取り付いてみよう』

入渓

前日は適地にて野営を行い、大きなトラブルもなく入渓。
駐車地から渓までは目と鼻の先で直ぐに入渓出来たものの、ここで諸事情によりデジカメが使用出来ない事が判明(電池切れ)
私が最近購入した中古のGoPro hero5 session(手ブレが酷い)をフル活用して記録をとることに。

入渓点は沢の水が伏流しており、少し遡上すると少しづつ水が増えてくる。

源助滝

2段30m、水流が途中でヒョングった(跳ね上がった)まるで堰堤のような様相の滝が現れる。
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この源助滝からの滝場の登攀は、上級者の世界といわれており、吉岡本でこの滝場は登山道を辿って巻く中級沢として紹介されていた。

今回は滝身の左側、途中で灌木帯に入るルートをとり、最初の取り付きは自分が行うことに。
『最初は岩肌だが、途中からモンキークライミングになり難しくはないだろう』と甘く考えていたが、岩肌が湿り、緊張もあって体が硬く数メートル登ったところでズリ落ちてしまう。
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見兼ねた谷口さんが慣れた様子でスイスイと落ち口の左側まで登りビレイ解除の合図。
その後アッセンダーで自分が登り、最後にリーダーが登って無事突破。
次に2段9m、3段8mが現れ、水線突破は困難であった為、左手の岸壁を登ることに。
ここは最初にリーダーが取り付いたものの、いきなりハングし岩肌が湿っていた為、ボルトにかけたアルヌンを手掛かりに人工登攀で突破、その後は危なげなく登りきりビレイ解除の合図、その後谷口さんがやはり最初の取り付きで苦労しながらも突破。
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最後に自分が支点を回収しながら登るが、やはり最初の取り付きに手こずる。
技術も何もなく、パワーと根性でなんとか突破。
その後懸垂下降で沢筋に戻った後は少し遡行し、広い出合で小休止。

屏風滝・屏風嵓

前面には高さ70mの屏風滝、背面には同程度の高さがある屏風嵓。
正に圧巻、圧倒的なスケール。
嵓は柱状節理の集合体。
滝上部は柱状節理の名残りが迫り出し、中部から下部にかけて水流に侵食された岸壁、そこを流れ落ちるスダレ状の滝。
その間に挟まれ息を呑み言葉もない3人。
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もちろん滝の弱点を探すことにも余念はない。
しかしリーダーがロープを地面に下ろした時はゾッとした。
恐る恐る『行くんですか?』と問いかけたところ、少し間を置いて『まさか』と、笑って答えたものの、目は笑っていない(←私の主観です)
自分にもっと登攀力があれば行けたのかな、と申し訳ない気持ちが湧き上がると共に、もっと強くならないとな、と改めて感じた。

ここで集合写真を撮ったり『屏風水』等と命名して滝の水を飲んだり(美味)思い思いの時を過ごす。

牛鬼滝

屏風を後にし、次は今回のハイライト牛鬼滝、その直前の斜滝8mをリーダーがリードし谷口さんがアッセンダー、最後に自分がハーケンなどの支点回収を行いながら登攀。
落ち口はナメになっており、そこから直ぐの場所に60m牛鬼滝が聳え立つ。
下部はスラブで真ん中のテラスに至る直下が難しい。
今思い返せば、この時の自分は大滝に次ぐ大滝に圧倒され、萎縮してしまっていたように思う。
リーダーと谷口さんが滝の弱点を探っているのを横目に自分は高巻きルートを探り、気がつくと先頭をきって左岸から牛鬼滝を眺めながら高巻き。

遡行終了

牛鬼滝を越えてからは、スラブ滝15m、直瀑30m、15mスダレ状、ナメ滝7×18、深い釜を擁する30mと短いスパンで現れ、どの滝一つとっても沢のハイライトと言っても過言ではない素晴らしい滝の連続だった。
ただ、遡行終了の予定時間が迫っていた等の理由で全て高巻きを選択し、植林小山に到着。
そこで小休止をとった後、登山道を辿り駐車地に帰還。
雰囲気の良いわたらせ温泉で疲れを癒す。
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総括

500m程の標高の中に怒涛の勢いで現れる素晴らしい滝の連続に圧倒されました。
この立間戸谷はまるで焼肉をお腹いっぱい食べ終えた直後にメインディッシュばかり出てくるコース料理を食べる様な、出来れば数日に分けて味わいたい、そんな谷でした。

今回、リーダーと谷口さんの強いお二人に混ぜてもらった事で、自分もいつかその一員に加わりたいと強く感じました。
そして次は最低でも2日はかけて、一つ一つじっくり攻略し、必ずリベンジを果たします。