宮川水系 父ヶ谷 沢登り

山行日
山域、ルート
宮川水系 父ヶ谷
活動内容
沢登り
メンバー
T口(L)、Y岡、Y田、SMB(記録)
行程
6:50駐車地 8:00入渓 16:00遡行打切 18:20駐車地

宮川水系 父ヶ谷 沢登りの山行記録

宮川水系 父ヶ谷 沢登り Suuhi_Ushioni
『牛鬼』

前置き

SMBです。二度目の投稿になります。
今回は、三重県大台町大杉の父ヶ谷で沢登りをしてきました。
この父ヶ谷は大杉谷開祖の猟師が『牛鬼』という妖怪を退治した伝説があり趣深く、また初心者にも優しい沢という認識でした。
しかし、(おそらく降ったであろう)前日の雨で、過去の山行記録と見比べて明らかに増水しており、とてもハード且つアドベンチャーな遡行となりました。

前泊・入渓までのこと

適泊地にて野営を行い、日の出とともに出発。

気温は十数度、野宿には適温で快眠、朝食もしっかりとれ最高のコンディションで臨む事ができた。

宮川貯水池を渡す大きな吊り橋を車で渡った後、続く父ヶ谷林道はとても悪く、前情報ではSUVでも走破する事が困難といった声や、プリウスでもなんとか行けたといった声も聞かれた。
実際は少しハンドル操作を誤ると谷底に転落してしまいそうな山道。

自分のなんちゃってSUVには荷が重く、途中少し開けた場所に駐車し、そこから数十分歩くことになった。
宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9173

渓相

『この谷は流域の大きさにおいては大杉谷に及ばないが、その規模と悪さにおいては劣らないものがあり、ダイナミックな遡行が味わえる』 吉岡 章

特に印象深いのが、巨岩やよく滑る岩が多く、序盤からよく泳がされたということ。
最初は、永遠と思えるようなゴーロ帯が続く。
両脇には岸壁が峭立し、泳ぎを要求されるポイントが予想以上に多い。
以前の小黒谷と比べると明るく、川幅、滝、壺、岩、全てが大きく、正にダイナミックな渓だった。

入渓

ホイロ淵(ニノ壺)手前まで、巨岩をよじ登ったり泳いで遡上したりと、序盤から大きく体力が削られた。

また、個人的なことだが、今回mont-bellクリマプレン パドリングジョンを導入、少しブカかったのか泳ぐ際、胸や脇から大量の水が侵入、排出されず保水したまま行動することになった。

全身に鉛を纏っている様で、まるで3,000m級をテン泊縦走している時の様なしんどさを感じ、嬉々として釜に飛び込み小滝を登りたくなる気持ちを抑え、長くなるであろう行程を思い、体力をセーブしながら大人しく遡行した。
宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9181

ホイロ淵から大釜三つ

宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9197
ホイロ淵手前にある一ノ壺8メートル滝を左岸から高巻き、懸垂下降したところで今回の核心である10m斜滝とホイロ淵が待ち構える。
宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9202
このホイロ淵はとても印象深く、正に深淵といった感じで、洞穴の暗がりをじっと見ていると心がザワザワしてくる(まるで牛鬼が我々を見ているような)神秘的な場所だった。

宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9204
10mの斜滝はロープを出して滝の右側を直上。

続く3m小滝については遡行図に、釜を飛び越し右岸に転じて突破とあった。

しかし、明らかに水量が多く、実際釜を飛び越せず途中で墜落しようものなら激流に飲まれ10m斜滝をてっぺんから落ち、その後ホイロ淵に呑まれることは容易に想像がついた。

そこで、ロープで確保してもらい何とか急流を飛び越え、3m小滝の右岸から突破を試みるも岩肌が濡れラバーソールではフリクションがほとんど効かず、またその先の大釜三つも、大量の水が流れ込んでいた。

例えこの場を突破しても結局水圧に押し流されホイロ淵に呑まれることは容易に想像できた為、高巻きを選択。

宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9211
大杉谷開祖の猟師、嘉平次がこの淵に住む妖怪牛鬼を退治したとされる深い釜と12m滝をようする牛鬼淵に到着。
ここで小休止をとり、後少しの行程に向けて出発。

最後の大釜

北谷、南谷の二股に出合い、遡行図では北谷に寄り道とあるが、日没時間が迫っていた為南谷へと進路を取った。
宮川水系 父ヶ谷 沢登り IMG_9218
そして最後に待ち構えていたのが、まるでホテルのプールと見紛うような(チープな表現ですみません)ブルーグリーンの神秘的な大釜。
ここでまったり半日程過ごしたい、と気持ちが緩みそうになるのをグッと堪え大釜に飛び込む。

宮川水系 父ヶ谷 沢登り スクリーンショット 2021-10-07 15.13.15
必死に泳いで小滝の左側に取り付き突破。
堰堤手前から林道に進み遡行終了。

総括

途中、仲間に身体を差し出し巨岩を突破したり、身体を引き上げてもらったり、急流を泳いで突破する際ロープで引っ張ったりと、仲間と力を合わせ、いくつもの障害を突破することで一体感が醸成された。

また駐車地に帰って来るまで、実質11時間弱の全身運動とハードな山行であったが、タフなメンバーに恵まれ、刺激的で楽しくとても冒険的だった。

と、少しおおげさに書きすぎた部分もありますが、だいたいこんな感じです。

また、早く沢へ行きたいですし、フリーも頑張って練習して、いつかもっとグレードが高く、ワクワクするような沢登りがしたいです。

雑感

  • 遡行図を家に忘れる→準備不足
  • 体力向上
  • パドリングジョン浸水対策
  • 懸垂下降時、下降器落としてしまう→体力消耗による集中力の低下とロープワークなどの練習不足
  • 車の鍵対策→バックアップにもう一つ持参、別の場所で保管
  • 今回の様な渓でフェルトソールを試してみたい
  • 鵞足炎が悪化したので、次回の山行までリハビリがんばります
  • GoProでの撮影動画、臨場感あってとても良いです