甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山

  • -
  • 甲斐駒ケ岳 黒戸尾根
  • 厳冬期登山
  • U、M、I(記)

甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 山行記録

12月初めUさんから年末山行のお誘いが来る。メンバーはM君を加えた3名だ。
色々考えた末、体力、技術的にも丁度良さそうな甲斐駒黒戸尾根を選ぶ。
しかしクリスマス連休に設定した荒島岳雪訓は雨男の本領発揮!?の暴風雪でやむを得ず中止。
さて、ぶっつけ本番はどうなることやら・・・。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3929

12月29日(木)

どうやら年末の天気は良さそうだ。今回は、晴れ男のUさんのパワーが勝ったか(笑)

近くの道の駅で2時間ほど仮眠し、竹宇駒ヶ岳神社の駐車場に到着する。車は1/4ほど。

おかげでラッセルの心配はなさそうだ。

神社で安全登山を祈願し出発。2年前に比べて雪が少ないのは有難い。
いきなりの急登は寝不足、体力不足の身体にすこぶる優しくない。3人とも汗だくだ。
木漏れ日の樹林帯をゆっくりと登り高度を稼ぐ。
2時間半ほどで笹の平に到着。この辺りから雪がちらほら。
前回深い雪に退却を決めた1628mのコルで休息を挟み、ここからは未知のルート。

八丁登りはジグザグの急登が続き苦しい。ラッセルがなくて本当に良かった。
アイゼンを装着し刃渡りを進む。左にはオベリスクと端麗な富士山、背後には八ヶ岳と雄大な景色が広がる。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3798甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3809

刃利天狗を通過すると傾斜が落ち、5合目小屋跡までは少し軽快(気持ちだけ?)に進む。
小屋跡付近には4張位のテントがあった。甲斐駒ピーク狙いで、テントを張っている人もいた。
断念した黄蓮谷をいつかは狙ってみたいものだ。

5合目のコルで一休みしていると甲斐駒日帰りの単独者が降りてきた。今日は3人ほどの日帰り猛者がいたそうだ。
M君、次は頑張ってね(笑)

コルからの登りは梯子、鎖場が続く。7合目直下の木橋まで来ると、あと一息だ。
休息を入れ、お疲れモードの身体に喝を入れて、本日最後の登りにとりかかる。
ここが核心で、垂直梯子、鎖場が続き、気が抜けない。鎖場には滑らない防寒テムレスが大活躍だ。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3825

日没前に小屋について、ほっとする。

小屋でテント受付をすると有難いことに水が貰えた。テン場は小屋から更に100mほど登った先にある。
既に2張先客。やむなく一番奥のトイレ地帯直近を整地し、会のモンベルテントを設営する。
なんとか日没直前にテントに潜り込むことができた。

早速、M君が担ぎ上げてくれた鶏白湯鍋で温まる。
予報では夕方から冬型が一時的に強まり30日昼頃までは北西風が強まるようだ。
食料と日程に余裕があるし、のんびり行こうかと思案する。
満腹後は、お待ちかねの就寝タイム。M君の『極地仕様の特大シュラフ!?』を横目で眺めつつ就寝。
夕方から強まった風がゴォゴォと流れ、その度にテントを叩いたが、幸いにも冬仕様シュラフのおかげで、まずまず眠れた。

◆0810竹宇駒ヶ岳神社~1035笹ノ平~1300刃渡り~1445五合目~1625七丈小屋

12月30日(金)

予定の0530に目覚ましをかけたが、相変わらずの強風に速攻の二度寝を決め込む。

0700、風は相変わらず強いが、テント内に朝日が差し込み天気はいいようだ。2人を起こして、準備を始める。
0900出発を決め、テントを出る。素晴らしい快晴だが風は尻込みするほど強い。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3835

樹林帯の有難いトレースを辿り、森林限界を抜けると尾根筋に出る。
ここは風の通り道らしく、吹き抜けていく強風で何度もよろめく。快晴じゃなければ、引き返したい衝動に駆られる。
頂上へ続く稜線上は所々雪煙が舞い、その強い風を物語っている。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3843

クラストした雪面を踏みしめる音と感触が心地よい。
8合目で一息入れる。この先から核心となる。
大岩を右にトラバースし、切れ落ちた鎖場、短いナイフリッジ、急なルンゼを越えて行く。トレースがなければ、かなり苦労させられる所だろう。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3854甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3856甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3862甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3868甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3875

2840m付近の大岩の根元で小休止。何せ強風を避けられる場所が殆どないので、ゆっくり食事もできない。

エネルギー源を補給し、最後の急坂にとりかかる。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3880甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3883甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3888

強風に何度もよろめきながら登りきると、見覚えのある祠が現れる。そして10年ぶりの頂上。
周りを見れば360度の展望。
眩いばかりの白い山々、稜線が見渡せる。先月O会長達がトレースした北岳から間ノ岳に続く稜線、目の前には南アルプスの女王仙丈ヶ岳、そして秀逸な富士山。
この景色が見られれば何も言うことはない!?登頂の苦労が報われる瞬間でもある。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3898甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3899甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3896甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3902

強風で身体も冷え切ったので、下山開始。急峻な稜線を時折バックステップも交えながら慎重に下って行く。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3910甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3914

相変わらずの強風だが、天気もいいので問題ない。森林限界に入りほっと一息つきつつ、テントまで駆け下る。

夕方までお菓子や酒を飲みながら、のんびり過ごす。テント生活での最高に贅沢な時間だ。
夕食はUさんが担ぎ上げてくれたエリンギとウインナーのバター醤油炒めとスパゲッティ。
Uさん持参の秘密兵器グッズを使い、鍋を焦げ付かすことなく、山泊初の美味しい炒め物に一同感激する。
夕方には風も収まり始め、夜はそれほど冷え込むことなく快適な夜を過ごす。
トイレに立つと眼下に広がる甲府盆地に煌めく夜景が印象的だった。

◆0905七合目TS~1005八合目~1150甲斐駒ヶ岳1220~1310八合目~1340七合目TS

12月31日(土)

本日も快晴。Uさんの晴れ男パワーが凄すぎる!?(笑)早めに起きたが、準備に手間取り、0730TS出発。
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 厳冬期登山 DSCN3939

下りの方が危ないので、5合目までは気が抜けない。刃渡りを終えてアイゼンを脱ぐ。
一息入れて先を急ぐが、やっぱり黒戸尾根、長い。
最後はバテテ失速したが、何とか神社まで到達。神社で3人無事に下山できたことにお礼を言い駐車場へ。
3日間の山修業は無事に終えることができた。

直ぐ近くの尾白の湯で垢を流す。少々値は張るが、八ヶ岳の眺望が楽しめる泉質のいい温泉です。

帰路、疲れているはずなのにUさんが1人で運転を頑張ってくれる。横で爆睡しまくって申し訳ありませんでした(汗)

◆0730七合目TS~0840五合目~1050笹ノ平~1240駐車場

黒戸尾根、長~いですが、いいルートです。
ただし、天気とトレースに恵まれなければ、かなりの苦戦を強いられるのは疑いない。今回はラッキーでした。
防寒テムレス、いいです(笑)暖かい、滑らない、水分を通さない、ピッケル等金属類の冷感触が伝わり難い、しかも安い!!といいこと尽くめでした。深雪ラッセル等なければ、かなり使えると思います。
Uさん、M君お疲れさまでした。
楽しい山行ありがとうございました!