剱岳 チンネ左稜線と八ツ峰 アルパインクライミング

山行日2015年8月12-16日
山域、ルート剱岳 チンネ左稜線 Cフェース、Aフェース、八ツ峰
山行形態アルパインクライミング
メンバー濱野、池

剱岳 チンネ左稜線と八ツ峰 アルパインクライミング 山行記録

こんにちは、濱野です。
8月12日から16日まで初めての本チャンに池くんとチャレンジしてきましたので、その記録です。
前夜から出発し立山駅で仮眠、ケーブル始発の1時間半前にチケット買いに行くが、すでに30人ぐらいの列が、、、。お盆休みは侮れない。
臨時便も出て7時のケーブル、美女平から高原バスで室堂へ。
これからの道のりは長いので、早速出発です。
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駅でザックの重さ量ったら二人ともほぼ22キロでしたΣ(゚д゚lll)知らな方が良い事もあります。
雷鳥沢に下ったら剱御前小屋まで地獄の登りが始まります。
前にここを通った時はこんなにしんどくはなかったはず、、、、。あ、今回はクライミングギアとロープがある、、。普段からトレーニングもしてないし(´・ω・`)
何とか剱沢キャンプ場まで
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ここからもう少し下って剱沢雪渓へ。この時期の雪に嬉しがりの二人でとりあえず写真撮影ヽ(´▽`)/
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笑ってられるのはこの時だけでした。
600m下って長次郎雪渓の出合いまできたら、幕営地の熊の岩までひたすら登り、、、。すでに疲れているのに、これはキツかったです。10歩ごとに↓
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遠くに見える熊の岩が全然近くならない(;´Д`)
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正直、二度と来たくないと思いました(笑) 僕が足を引っ張ったので、予定よりはるかに遅れてしまいテントを設営したのは17時。
めっちゃしんどかったけど、やっぱりこの景色は素晴らしい!すぐ目の前に八ツ峰が見える。
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休憩もそこそこに腹も減ったので、カレーを作る。米を炊くも芯が残りまくりで半分生米、まだまだ修行が足りませんでした。この日はかなり疲れたので食事したら急激に眠気がきて、次の日も早いので19時に就寝。
凄く眠気がスッキリして目が覚めたので、そろそろ3時かと時計を見たら二時間しか経ってなくて、ここから長い夜が、、、、。

13日3時起床するが外は小雨の為、二度寝する。6時頃雨が止んでたので、さっと朝食食べたらチンネの予定を変更して、この日は目の前に八ツ峰VI峰を登ることにします。
雪渓を横切り取り付きまで10分、レインウェアとクライミング道具を装備したら、Cフェース剣稜会ルートを登攀開始。
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短い小雨がたまーに降るので、岩は濡れたままなので、慎重に手足を進める。思いの外、浮石の多くてそっちの方が気になる。
ガスの切れ間から長次郎雪渓やテントが見えると高度感が凄い!
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両方が切れ落ち下まで見下ろせるリッジがスリル満点。どんな絶叫マシーンより刺激的です(笑)
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特に問題なく11時に登頂し、縦走路を道に迷いながらV、VIのコルへ降りる。ロープは出さなかったが下手すれば危ないクライムダウンでした。
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時間あるので、Aフェースの魚津高ルートもトライ。ハング下に荷物をデポ
最初のクラックがIII+でカムを効かせなが登る。濡れているのでジャミングが滑りそうで少し緊張した。
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このルートもリッジを登るんやけど、剣稜会よりも傾斜がきつくほぼ垂直なリッジで、登りごたえがありました。
頂上にハイマツに割と新しいロープやスリングが巻きつけてあったので、3回の懸垂で降りテントへ帰還。
牛丼食べたら作戦会議をして21時就寝。携帯ラジオを持ってきておらず、携帯も圏外で天気予報がまったく見れない。出発前の予報通りだと14日が一番天気悪い、、、、。
14日3時起床するもやっぱり雨、さらに馬鹿でかい音の雷付きときた|д゚)
二度寝確定。この日は二日間の疲れを癒すことにする。

15日3時起床して満天の星空や天の川に感動して、今日なら行ける!と確信する。
チンネへのアプローチは雪渓を登りつめて池ノ谷ガリーを下り三の窓へ行くのが一般的だが、八ツ峰縦走路からトラバースするルートを選択した、、、、しかし、これが大失敗だった、、、。
V、VIのコルへ向かう途中、足元が危ない所を通ってしまい、池くんが転倒し滑落は免れたものの、もう少しで大怪我になる所だった。先頭を歩く僕が道を誤ったと反省です。
コルから一昨日下降した縦走路を念のため、ロープだして登り始めたけど、、、、ん?何か違う?迷ってしまった、、、。
このまま進むのは危険と判断してクライムダウンしました。結局雪渓を登り池ノ谷を目指すことに、、、。
この時点で3時間の無駄になってしまった、、、。
熊の岩からの雪渓は斜度もキツく雪渓も切れていたりと緊張しながら登り、池ノ谷ガリーを落石に注意しながら下ったら三の窓へ
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もう一度アイゼンを装着してチンネまでトラバース。出遅れたので当然だが順番待ちで、僕らが最後だった。
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さて、いよいよ登攀開始。浮石がやはり多いのと、ピトンが古いので細心の注意を払いながら登る。
2ピッチ登っただけですでに高度感が^ー^これがチンネか!
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先行パーティーがいると、登り方やピッチを切る場所が参考になるので良いと思ったけど、すぐに離された(笑)
池くんが八ツ峰でIII級が想定より難しく感じたらしく、自信喪失してたので無理をさせる訳にはいかないし、僕がリードを引き受けました。やっぱりロープやギアの受け渡しで時間かかったり、ロープも捻れてしまったりとなかなか上手くいかない。
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登っても登っても岩峰は続く。1ピッチだけ平坦なリッジがありロープ無しでも行けたけど、念の為ロープを出して池くんに行ってもらった。
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この時は最高の天気で風もなく、遠くまで山々が見渡せて来て良かったと思いましたねヽ(・∀・)ノ
8ピッチからはピナクルが連続するリッジで、ロープの流れが悪い。
いよいよ核心の鼻が見えてきた。ここは流石に渋滞していたので、小ハングの乗越を見させてもらったが、なかなか難しそうに登ってるのを見て不安になる(´・ω・`)
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しかし登ってみると、ガバもすぐに見つかるし、ピトンも連打してあるので問題なく登れたけど、その後ロープとギアが足りなくなってしまいそうになり、焦った。
そうこうしてると、前はクライマーが見えなくなって、僕らだけ取り残された感じに、、、。ガスと風も出て寒くなり、登っても登ってもどこまでも続く岩稜。もう何ピッチ目かも分からない。懸垂もしないといけないし、暗くなる前にテントに戻れるかとてつもなく不安になる(T_T)焦ってきた僕らは景色も眺める余裕もなく、早く降りたいと思い始めてました。
ようやくチンネを登りきって一安心して写真を撮ってもらいました。
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時間に余裕がないので、すぐに下山に取り掛かる。懸垂場所を見つけて下降開始しましたが、これまたガラガラの岩場。50mほぼいっぱい降りた所にもう一箇所残置スリングがあり、2回の懸垂で池ノ谷ガリーへ。
暗くなって来て急な雪渓を下るのに安全の為、ロープを張る準備をしてたのですが、僕がアイゼンを裾に引っ掛けてバランス崩し、1m角ぐらいの岩に寄りかかったらその岩と共に倒れてしまいました。僕は下敷きにならなかったけどロープが下敷きになってしまい、どうしたら良いのか分からなくロープをそのまま置いてきてしまいました。本当に申し訳ないです。
ヘッドライト付けてようやくテントにたどり着いた時の安堵感はなかったです。心の底から無事に帰ってこれて良かったと思いました。
よく考えると登るのに必死で行動食もろくに食べてなく、テントに戻ってきてからの食べ物が、何より一番美味しかった。
食べたらすぐに眠気が襲ってきて、この日だけは一度も起きることなく朝を迎えました。

16日8時に熊の岩を出発。剱岳本峰を経由して下山も考えましたが、失敗が続いているので無難に来た道を下山。
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初めて本チャンにトライした訳ですが、準備不足だったと大反省です。この計画をたてる上で、僕はクライミングのグレードしか見てなかった。クライミングとセルフレスキューの練習はしてきましたが、リーダーとしての状況判断やルート選びが全然未熟でした。僕の安易な判断で池くんにも不安と危険な目に合わせてしまった。アイゼンのトレーニングもしてないから、コケてしまいロープも下敷きに、、、。チンネへのアプローチをミスした段階で止めておくべきだったのかも。今回は運良く無事に下山できましたが、もっと多くの事と経験を身に付けて登らないと危険だと感じました。