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鋸岳  2001.11.22−25

L橘 SL小林晋 城井 滝口  橘(記)

 この記録は鋸岳を目指し、登頂したた4名の珍道中の記録である。
11/22(木)2230伊丹を出発。中国自動車道宝塚ICより、一路駒ヶ根ICを目指す。1回の休憩で駒ヶ根ICへ300到着。戸台村へと向かうR152沿いでテントを張って就寝(330)
 11/23(金)戸台の河原の駐車場へ720着。身支度をし、740出発。戸台川沿いの道を歩く。ここ1週間程快晴続きなので河原は干上がっており全く徒渉も無くを歩いて溯る。二時間程歩いた所でそろそろ鋸岳への分岐点が現れるはずだが分岐の標識を見落とし、3名の偵察隊は赤河原分岐手前まで到達していた。
 1000、去年とは比べ物にならない水量の戸台川を渡るが一人だけ足が滑って川にはまった。濡れた靴下を絞り、気を取り直して角兵衛沢を詰め上がる。右や左に赤テープを追い求めながら、徒渉点より2.5hほどで大岩下の岩小屋に到着。(1230)本日はここまでとして、早速たき火集めと酒盛りの準備に取掛かる。遥かに南アルプスの山並みを見渡すこの100m超の大岩の下は落石だけは恐いが、水も湧いており、快適なテント場だ。
(但しテントスペースは二張りまでしかない。遅れたら大変だ。)
 ワインを飲んだり、焚き木を集めたりするうちに後続のおじさん5人パーティがやってきた。最初の内は新入りということで大人しかったが、酒が回り始めるとにわかにうるさく(賑やかに)なり、お互い鋸仲間ということで連帯感が芽生える。楽しく焚き火を囲んで酒を酌み交わし、互いの鍋と情報の交換を行なう。(但し、向こうの親父料理のうどん鍋の方がだしが効いてうまかった。主婦ショック)。向こうの数千円するらしいボージョレヌーボーや水のように甘い高級ウイスキー、山では貴重な発泡ビール、ツマミ等を頂いているうち、かなり酔いも回り、訳が分からない内に徒渉で濡らした靴下も乾いたのであいさつもそこそこに我々はテントに潜り込んだ。(1900)
焚き火の回りではあびこ山岳会の奏でる「そして神戸」がやかましくもうるさくこだましているのであった。しかしさしもの陽気な親父たちも2100頃には気絶していたようだ。
 11/24(金)330起床。530、夜明けを待って出発。あびこ山岳会のパーティは暗闇の中、500に出発した。遅くまで飲んで、朝発も早いとはなかなかな親父達だ。ガラガラの角兵衛沢をしばらく登り、右から枝沢が合流している個所で、悩む。先行パーティは右の枝沢に入ったようだが、地形図では本谷真直であるので我々は直登を進む。上部であびこパーティの先頭と合流する。上部は広い傾斜帯で、冬期は雪崩の警戒が必要だ。710、角兵衛沢のコルに到着。噂通り狭いコルだ。ここで各自ヘルメットと登攀具、ハーネスを付け、気合を入れ直して第一高点の鋸岳頂上を目指す。頂上へは30分程の登りだったが、部分的に切れた岩場に雪が付着していて気を遣う。(740着)頂上で記念撮影後、また急な岩場の道を歩いておりるとしばらくして小ギャップと思われる地点に到着。残置のトラロープもあるが頼りないのでザイルをセットして懸垂で下りる。ノーザイルで下りれそうという希望観測もあったが、万が一にでも滑った場合のことを考えるとザイルを出す時間など屁にもならない。
 10メートルほど懸垂し、又岩場の道をしばらく歩くとふと、鹿窓と呼ばれる風穴が現れた。この辺りは地形が複雑で、一体どっちへ向いて歩いているのかわからなくなる。そのうえ、地図上では第一、第三、第二高点という順番でピークが現れるため非常にややこしい。風穴を出た所で私は南北が完全に逆になってしまい、メンバーに確認して初めて逆に気づく。鹿窓を過ぎると、また固定ロープが現れ、我々を下へと導く。ここでもザイルを出すか一瞬迷うが、傾斜が緩そうなので、よく愛染で踏まれた固定ロープを片手で掴んでクライムダウンする。末端でなお、傾斜がきつかったので、やはりザイルを出すべきだったかなとも思った。下りきった中岳直下付近が縦走の核心部で、第三高点は見えるのだが、そこへ続く道が分からない。多くのパーティが迷うらしく踏み跡はあちらこちらに伸びていて、ぼろぼろの岩場に来ては消えている。50メートル程の絶壁の上のぼろぼろのトラバースは気持ち悪く、一度引き返す。岩がボロボロではハーケンも使えず、立木もほとんど無いのでいやらしい所だ。
 ここは一旦休憩し、煙を燻らしてのんびりと鋸のパズルを楽しむことにする。(後だからこう言えるがその時はどうしようかなという雰囲気だった。逆から縦走してきた場合、この複雑な地形を下りで夕方の時刻に通る事になるから大変だ。)文献と地形を比べ、しばらくして偵察隊の城ちゃんが踏跡を辿って大ギャップからのルンゼを渡り、第三高点へと導く赤布の付いた道を発見する。(1030)この辺りは文章で説明するのは非常に困難で、図で説明した方が早いであろう。
 我々が第二高点へ登り始めた頃、後続のあびこのパーティが鹿窓からやってきた。我々が苦労して見つけたルートを一目でトレースされるのは少し癪ではあったが、これも神の思し召しだとする。(しかしこの後、あびこのパーティは我々の視界に現れることはなかった。オヤジ達はパズルが解けたのだろうか。六合石室で水が無いと気づいたのだろうか)
 第三高点へは1120着。噂通り鉄剣が刺さっていた。天気は快晴で雲一つ無くアルプスの眺めは申し分ない。ここまで来れば難場はないはずだが、所々、切れ落ちた道(200Mはあろうかと言うような超絶壁!)や岩場への迷い道があり、視界が悪ければ結構大変だろうと思われる。途中、大きな二匹の熊の足跡を発見。一同ぶるう。第三高点からの下りはがれがれで、落石を起こし
てしまい、滝口君に当りかけてひやひやする。(反応の悪い人間なら当っていたかも。すんまへん)後は次第に普通の尾根歩きとなり、1330、六合石室着。早速水場を探すが、「水場へ続く道発見ーん」という軽いギャルのコールに男性陣は心が緩んでしまい、テントを張るやら酒盛りの準備やらを開始する。六合石室は水だけが心配だが眺めは最高で、私はコーヒーを煎れて、FMラジオでドボルジャークのシンフォニーを聴くという無い物ねだりを夢想しながら、疲れた体をでまどろしていると、30分ほどして件(くだん)のギャルが戻って来た・・
 しかし、泣きそうな顔で「どこまで下りても水が出てない・・」というではないか。オーマイゴッドネス!水が無いことには幕営もできない! 快適そうな石室に早々に別れを告げ、再度緩んだパンツのゴムと気合いを引き締め直して七丈滝尾根へと下山を開始する。(1430)七丈滝尾根は一応整備されていて赤テープもあるが超急坂で、岩場の丸太トラバースや残置ロープを掴んでの下降があり、厳冬期に愛染で下りるとなると結構渋いことになるだろう。1630、本谷の河原に到着。ちょうどテンバがあり、蒔きまで置いてあるので迷わずテントを張る。熊の出そうな雰囲気なので盛大に焚き火をもやして、昨夜と違い安物合成日本酒で宴会を開く。ここまで下りれば下山したも同然で、少し物足りない位だ。
 11/25(日)天気はやっぱり快晴。530起床。日本ソバをかきこみ、出発。
630赤河原出合。920戸台駐車場着。長谷村営のきれいな温泉に寄り、1800帰神。

NOTES:
・偵察隊の見落としが二回続いた。見落として当たり前か、見落とさないのが
普通かは神のみぞ知る領域かは不明である。
・鋸岳そのものは崩壊の進んだ岩山である。スポーツクライミングとは違う。
・天気はめっさ良かった。愛染、ピッケルは結果的にはいらないほどだった。
・食事に関してはあびこのオヤジに負けていた。ビールを48本も持ち上げたらしいが・・・
・核心部(中岳付近)は厳冬期の方が脆い岩がキンコリート化されて快適かも知れない。
・私の被害:徒渉点で水没1回。焚き火にバンダナ落下1回。(拾い上げて又かむっていた)