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上高地-岳沢-コブ尾根-奥穂高-重太郎新道-岳沢-上高地    1996.11.1〜11.3  三瓶 修

11.1 大阪-松本
 大学のスキー部の学生が多量に存在していて鬱陶しい。学生という存在が最近やたらと邪魔に思えるのは年を取って来た証拠だろうか。もうひとつ熟睡できぬままに松本へと向かう。

11.2 雨  松本-上高地(6:00~7:00)-岳沢ヒュッテ(8:15)

 予想通りの雨である。見込みとしては良くなるはずだが、上のほうは厚いガスが立ち込めていて早々には止みそうもなかったので、仕方なしに歩き始める。岳沢ヒュッテはすぐそこということでもう少し待てば良かったのだが、この辺りが山にたいしてまだまだ余裕のないところであると思う。ガレ沢であるはずの岳沢はごうごうと水が流れている。横目で眺めながら夏道をたどる。岳沢ヒュッテには既に何人かの先客がいたがテントを張っている人は皆無である。ちなみに小屋に素泊まりすれば5、000円なり。
500円の天場代と比べればやはり穴の空いたツエルトでもまだまだましである。気温は高くとても雪に変わるような天気ではないが、雨に打たれてなんとなく淋しいのでウイスキーの小瓶(800円)を買って、明日の晴天を祈りつつツエルトの中に身を横たえるのである。

11.3 晴れ 岳沢ヒュッテ(6:00)-奥穂(10:20〜10:40)-岳沢ヒュッテ(12:20〜12:30)-上高地(13:30)

 朝方はまだガスがかかっていたがいい天気になりそうな朝である。1度天狗沢まで大きくトラバースし、少し戻ってコブ沢に入る。沢には水が流れている。中途半端な雪渓が残っていて、触れたら倒れそうな雪塊が幾つか連なっていて面倒である。大きな雪渓の手前で右から入ってくる小屋付近からも確認できる顕著な枝沢に入る。これを上り詰めるとコブのすぐ手前の尾根上に上がる。ここで小休止である。前穂が綺麗に映っている。朝方かかっていたガスは既に眼下で雲海となっている。積雪を期待して来たのだが、予想外の晩秋の穂高の景観を十分に楽しむ。

 コブの登りに取り掛かる。下から見上げるとそれなりに大きく見えたコブも、近くに行ってみればボコボコと大きな岩が積み重なっているだけの岩山である。適当にどこでも登れるが、ハーケンに誘われてそちらのほうに行くと実は鬱陶しい所だったりする。やはりハーケンを打つということ自体困った事態であるので、打ってあるということはそれだけで難しいということである。大きくルートを見て行けばザイルを出す事なく通過することができる。コブの頭からはいったん20mほど懸垂しコルに下る。コルには申し訳程度に雪がついていて少しだけ初冬の山の気分に浸る。

 ここから見る吊り尾根は非常になだらかに見える。雪のコルを後にしてコブ尾根の頭へとがらがらの岩を登って行く。コブの頭はそれなりに広くこの稜線上では数少ないテントサイトであろう。そのままジャンに登り飛騨尾根を眺める。できれば3月に下からF尾根経由で登ってみたいと思っていたので、偵察がてらのぞき込んだが、F尾根から飛騨尾根へ上がるところの様子は上から見ただけではどこがどこやら全く分からない。ジャンを慎重にクライムダウンしてロバの耳に向かう。飛騨沢側に大きく下るが昨日降った雨が所々凍っていて、それが見た目にはよく分からないので気を使う。落ちてはしゃれにならないのでアイゼンをつけようかとも思ったが、肝心のアイゼンはいまだザックの奥深くである。まあいいかということで、慎重にゆっくりと岩肌を足で確かめながら進む。こういう横着がいずれ重大な結につながるのかもしれないとふと思う。大体この時期に山に来て、稜線に出る前にアイゼンを出していないというのがそもそもの間違いである。アイゼンなどなくとも当然通過できなければならないが、こういう気の緩みには気をつけなければならない。奥穂の頂上にはだいぶ人がいた。吊り尾根を通って前穂へ。懐かしいルートだ。岳沢ヒュッテは観光客でにぎわっている。



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